はじめに:クラシック回帰の波に乗る、次世代ヘルメット
近年、バイクカルチャーにおいて「ネオクラシック」という言葉が市民権を得て久しい。カフェレーサーやスクランブラー、そしてレトロなスタイルのバイクが再び脚光を浴びる中、ライダーの装備にも“見た目”と“機能性”の両立が求められている。そんな時流にぴったりとフィットするのが、HJCのフルフェイスヘルメット「V10」だ。クラシカルなフォルムに最新技術を詰め込んだこのモデルは、まさに“温故知新”の体現者。今回はこのHJC V10を、時代の流れとともに読み解いていこう。

- はじめに:クラシック回帰の波に乗る、次世代ヘルメット
- メリットとデメリット:深掘りして見えてきた3つずつのポイント
- 私見:クラシカルな口元に惚れた男の、HJC V10論
- まとめ:クラシックとモダンの“ちょうどいい”交差点
メリットとデメリット:深掘りして見えてきた3つずつのポイント
メリット
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軽量なグラスファイバー製シェルにより、長時間のライディングでも首や肩への負担が少ない。
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通気性に優れたベンチレーション構造で、夏場でも快適な内部環境を維持できる。
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工具不要のシールド交換機構により、天候や時間帯に応じた柔軟な対応が可能。
デメリット
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ピンロックシートが別売りであることが多く、曇り対策には追加投資が必要。
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ヴィンテージ感を追求する層にはやや物足りないと感じる可能性がある。
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空力性能に特化した設計ではないため、高速走行を重視するユーザーには不向き。
私見:クラシカルな口元に惚れた男の、HJC V10論
さて、ここからは私の独断と偏見を交えて語らせていただこう。まず何よりも、このヘルメットの“口元”のデザインがたまらない。丸みを帯びた帽体に、控えめながらも存在感のあるベンチレーション。まるで1950年代のレーサーが使っていたような雰囲気を醸し出しつつ、現代の空気をしっかり取り込む設計。クラシカルな見た目に惹かれて手に取ったが、被ってみると「え、こんなに軽いの?」と驚いた。
そして、シールドの交換があまりにも簡単すぎて、思わず「これ、未来じゃん」と呟いてしまった。クラシックな見た目に反して、操作感は完全に現代。まるで昭和の喫茶店でWi-Fiが飛んでるような違和感と感動が同居する。
ただし、完璧ではない。ピンロックが別売りなのは、ちょっとした“昭和の商売”感があるし、もっとゴリゴリのヴィンテージ感を求める人には「ちょっと今っぽすぎる」と感じるかもしれない。でも、それが逆にこのヘルメットの“ちょうど良さ”なのだ。日常使いに耐えうる快適性と、週末のツーリングで映えるデザイン。そのバランス感覚は、まるで昭和と令和のハーフのような存在。
そして何より、口元のクラシカルな造形が、走行中の自分を“物語の主人公”にしてくれる。信号待ちでふと鏡に映った自分の姿に、思わずニヤリとする。そんな瞬間をくれるヘルメットは、そう多くない。
まとめ:クラシックとモダンの“ちょうどいい”交差点
HJC V10は、クラシカルな雰囲気を愛するライダーにとって、まさに“ちょうどいい”選択肢だ。軽量で快適、操作性も抜群。それでいて、見た目はしっかりとレトロ。口元のデザインに惚れた私としては、これ以上ない相棒だと感じている。ヴィンテージ感を楽しみつつ、現代の快適性も手放したくない。そんな欲張りなライダーにこそ、このヘルメットは刺さるだろう。そして、走り出した瞬間に気づくのだ。「ああ、これは“今”のクラシックだ」と。