バイクにもう一つのコクピットを スマートライドモニター AIO-6 LTEが描く新しい旅の形

はじめに

バイクの世界にも、ついに「常時オンライン時代」が本格的に降ってきました。 ナビはスマホドラレコは別体、盗難対策はまた別……と、電装まわりが配線スパゲッティ状態になっているライダーも多い中、「もう全部まとめて面倒見ますよ」と名乗りを上げたのが、TANAXのスマートライドモニター SRS-030 AIO-6 LTE です。

今回は、このAIO-6 LTEがどんな思想で作られたガジェットなのか、どんな人には刺さって、どんな人には「うーん」となるのかを、良いところもイタいところも含めて、ざっくりではなくガッツリ掘っていきます。 レビューというより、「この製品とどう付き合うか」を一緒に妄想する読み物として楽しんでもらえればうれしいです。

 

SRS-030 スマートライドモニター AIO-6 LTEとは

AIO-6 LTEをひとことで言うなら、「6インチの大画面に、ナビ・ドラレコ・セキュリティ・通信を全部ぶち込んだ総合管制タワー」。 TANAXとAKEEYOの協業モデルで、6インチ・高輝度ディスプレイ、IP69Kの防水防塵、55fpsの前後カメラ(別売SRS-031)対応、BSD(死角検知)、高精度GPS、さらに4G通信機能まで乗った、かなり盛りすぎな一台です。

Apple CarPlay / Android Autoに対応しているので、スマホをポケットにしまったままでも、ナビ・音楽・通話などをモニター側で操作可能。 さらに、LTE通信+専用アプリを組み合わせることで、車両位置の追跡、走行ルートの記録、振動検知時の通知など、セキュリティ機能も担ってくれます。

本体価格は約99,000円クラス。さらに4G機能を継続利用するには、専用SIMの年間サービス料(およそ7,000円程度)が必要になる、「本気度の高い電子装備」という位置づけです。

 

メリット3つ

1. 「全部入り」ならではの安心感とスッキリ感

ナビ・ドラレコ・セキュリティ・車両追跡・SOS通知 といった機能を、バラバラの機器で揃えなくていいのが最大の強み。 6インチ高輝度ディスプレイに前後カメラ(オプション)を接続すれば、走行記録もリアルタイム映像確認もこの一台で完結します。

防水・防塵はIP69Kクラスで、雨天や洗車レベルでもビクともしない仕様。 「とりあえずこれ載せておけば、電装周りの土台は完成」という安心感は、他の中途半端なガジェットでは代替しづらいポイントです。

2. 4G通信による「見守り」と「つながっている感」

4G通信対応というのが、この機種をただのスマートモニターではなく「バイク用IoTデバイス」に押し上げている部分。 専用SIMを挿すことで、車両位置のリアルタイム確認、走行履歴の記録、ジオフェンスによる監視エリア設定、振動・衝撃検知時のスマホ通知など、常時見守りのような使い方ができます。

SOS緊急通報機能も搭載されており、転倒時にはカウントダウンの後、自動で事前登録した緊急連絡先に救助要請メッセージを送信可能。 「もしものとき、誰にも気づかれずに…」という不安を少しでも減らしたい人にとっては、かなり心強い仕組みです。

3. 大画面・高輝度ディスプレイの快適さ

6インチIPS液晶・最大2300nitクラスの高輝度というスペックは、「直射日光の下でナビが見えない問題」を真っ向から殴りに行っている仕様。 従来モデルAIO-5に比べて画面サイズは約44%アップ、明るさも大きく向上しており、ツーリング中に視認性でストレスを感じたライダーには刺さりやすいポイントです。

単純に「大きい・明るい」は、それだけで安全性にも直結します。 小さなスマホ画面を凝視するより、専用大画面に必要な情報がまとまっている方が、視線移動も少なくて済み、長距離ツーリングの疲労感も変わってきます。

 

デメリット3つ

1. 導入コストとランニングコストの高さ

本体価格は約99,000円クラス。ここに必要であれば前後カメラキット(SRS-031)などを足していくと、電装ガジェットとしてはかなりの投資額になります。

さらに、4G機能をフル活用したい場合は、専用SIMのサービス料として年額およそ7,000円程度が必要。 「通信を切れば他の機能は使える」とはいえ、「フル機能を楽しもうとすると、毎年更新料がかかるバイク用電装」という位置づけは、人によってはハードルに感じます。

2. 取り付け・配線の難易度と心理的ハードル

AIO-6 LTEは、12V電源・カメラ・センサー・配線の取り回しなど、どうしても作業が本格的になりがちな機器です。 取扱説明書側でも、基本的な技術や知識を持った人を想定しており、経験が少ない場合は専門店などに相談することを勧めています。

つまり「ポン付けして即完了」という類のアイテムではありません。 配線に苦手意識があると、「良さそうなんだけど、自分で付けるのはちょっと…」となりやすく、工賃込みで考えるとトータルコストはさらに上がります。

3. 「全部入り」ゆえのオーバースペック感

4G通信、SOS通知、車両追跡、ジオフェンス、前後カメラ、BSDドラレコ機能、走行ログ記録……と、この機種はやれることが多すぎます。

「そこまでいらない」「盗難も気にしてないし、ツーリングのログも別に残さない」というタイプのライダーからすると、機能の半分くらいは宝の持ち腐れになりがち。 ナビ+ドラレコだけで十分な人にとっては、もう少しシンプルで安価なモデルの方がバランスが良く見えてしまう可能性もあります。

 

この商品の魅力と「付き合い方」を妄想してみる(私見

ここからは、スペック表をいったん横に置いて、「AIO-6 LTEって、結局どういうライダーの相棒になりたがっているのか?」を妄想しながら言語化してみます。

1. この機種は「ガジェット」ではなく「バイクの世界観」を変える装置

AIO-6 LTEの本質は、たぶん「バイクにインフォメーションパネルを増設する」という発想にあります。 スピードメータータコメーターの横に、もう一つのコクピットをドンと置くイメージです。

そこには、

  • ツーリングの現在地とルート

  • 録画中の走行映像

  • バイクの位置情報とセキュリティの状態

  • 緊急時の保険のようなSOS機能

が全部まとまっていて、エンジン始動と同時に「今日の相棒モード」に入る。 つまり、AIO-6 LTEは「バイクに知性を足すデバイス」なんですよね。派手な電装というより、「知能を授ける拡張脳みそ」的な立ち位置。

2. 「不安を減らすガジェット」としての価値

バイクって、好きで乗れば乗るほど、不安材料も増えていく乗り物です。 転倒、事故、盗難、雨、路面状況、土地勘のないエリア…。どれも完全にはコントロールできないし、それでも乗りたいから乗る。

AIO-6 LTEは、その「どうにもならない不安」のうち、いくつかをガジェットの力で薄めてくれる存在です。

  • 転倒して意識を失っても、SOS通知が助けを呼んでくれるかもしれない

  • 駐輪中にイタズラや盗難があれば、スマホに通知が飛んでくる

  • 万が一何か起きても、ドラレコ映像と走行ログが残っている

これらは、普段は意識しなくても、心のどこかで「もしも」を支えてくれる裏方。 「何も起きないのが一番いいけど、何かあったときの備えだけは置いておきたい」 という価値観に、かなりぴったり重なります。

3. 「ツーリングを記録する快感」が刺さる人にはたまらない

専用アプリを通じて、走行ルートや距離、時間、平均速度、最高速度などの詳細な走行記録を残せるのも、実はかなりクセになるポイントです。

  • 「あのときのツーリング、どこ走ったっけ?」がログで振り返れる

  • 細かい数字が見えることで、成長や挑戦の積み重ねを感じられる

  • 単なる移動ではなく、「旅の軌跡」として残しておける

さらに、前後カメラ映像まで合わせて残せば、「自分だけのオンボード映像アーカイブ」が育っていきます。 動画編集まではしない人でも、「あの峠の区間、後で見直そう」と思えるのは結構楽しい。

つまり、AIO-6 LTEは「ツーリングを消費しないための装置」でもあるわけです。 走って終わりではなく、後から見返してニヤニヤできる余白までセットで提供している感じ。

4. それでも合わない人は、たぶんこういう人

逆に、「これは合わないな」と感じるのは、たとえばこんなタイプのライダーだと思います。

  • 「バイクはできるだけシンプルに、アナログに楽しみたい」派 → ディスプレイや配線が増えること自体がストレスになりがち。

  • 「ナビもドラレコスマホ1台で十分」派スマホマウント+防水ケース+安価なドラレコで満足していると、10万円級の一体型は高く映ります。

  • 「年会費がかかるデバイスにあまり心理的抵抗を持ちたくない」派 → サブスク的なランニングコストを避けたい人には4G機能がむしろ重荷になりうる。

逆に言えば、

  • 電装を一度ちゃんと整えて、長く付き合うつもり

  • ロングツーリングが多く、ナビもログも映像も活用したい

  • 盗難や転倒時の不安をできる限り減らしたい

こういう「バイクとの付き合い方を本気でアップデートしたい人」にとっては、AIO-6 LTEかなり濃い一手になります。

5. 結局、何者なのか

AIO-6 LTEは、「とりあえずこれ付けとけばOKな万能ガジェット」ではありません。 どちらかというと、

「お金も手間もかけるけど、その代わりバイクとの付き合い方を一段階引き上げたい人のための、電子装備フルコース」

という立ち位置の機種です。

ただ、ツーリングから帰ってきて、 スマホでルートを眺めて、 映像を少しだけ見返して、 「今日もよく走ったな」と一息つける。

その時間が好きな人にとっては、 本体価格だけでは測れない、「ライディング体験の濃さへの投資」になってくるはずです。

そして、そういう人のガレージには、気づいたらAIO-6 LTEの他に、サブバッテリーや追加カメラやマウント類が増殖していき、結果としてまた配線がスパゲッティ化する―― そこで「あれ? 最初にこれを解決しようとしてなかったっけ?」とふと我に返るまでがワンセットです。

 

まとめ(感想)

SRS-030 スマートライドモニター AIO-6 LTEは、 単なる「便利なナビ付きモニター」ではなく、バイクにデジタルな安心と遊びをまとめてインストールする装置という印象でした。

価格も機能も、決してライトではありません。 でも、その分だけ「バイクと過ごす時間をどう濃くしたいのか」という問いに、真正面から答えようとしているプロダクトでもあります。

  • 不安を減らしたい人

  • 走りを記録して楽しみたい人

  • 電装も含めてバイクライフを作り込むのが好きな人

こういうライダーにとって、AIO-6 LTEはかなり魅力的な相棒候補になりそうです。

一方で、「バイクはシンプルでいい」「スマホで足りてる」と感じている人には、ここまでの機能は確かにオーバーキル。 そのギャップこそが、この機種のキャラクターの濃さでもあり、「ハマる人にはとことん刺さる」尖り方でもあると感じました。