足元に“冒険心”を仕込む靴──RS TAICHI『RSS010 ドライマスターコンバットシューズ』を深掘りする

はじめに

最近のライディングシューズって、「安全・快適・おしゃれ」の三拍子が当たり前になりつつありますよね。ツーリング先でそのまま街歩きもしたいし、雨も怖くない方がいいし、でも“いかにもライダーです!”みたいなゴツさはちょっと…というワガママな欲望がごく普通になってきました。

そんな空気の中で生まれてきたのが、RS TAICHIの「RSS010 ドライマスターコンバットシューズ」。アドベンチャーコンセプトのデザインに、悪路でのグリップに優れたオリジナル成型ソール、そして防水・透湿素材“ドライマスター”を内蔵した、防水系ライディングシューズのど真ん中ストレートな一足です。

さらに、着脱を爆速にしてくれるBOAダイヤル(しかも大型のM4タイプ)、くるぶしや小指側外側のプロテクター、夜間に光を返すリフレクターなど、「今どき欲しい機能」が一通り詰め込まれています。 今日は、このRSS010をいろいろな意見・情報を踏まえて“掘って”いきながら、その魅力とクセをできるだけ正直に言語化してみます。

 

メリット3つ

メリット1:履き心地と歩きやすさが“見た目よりずっと日常寄り”

アドベンチャー系らしいゴツい見た目とは裏腹に、ミッドソールには軽量なEVA素材を採用し、悪路でのグリップ力が高いTAICHIオリジナル成型のVibramソールで足裏を支えてくれます。 土踏まずからかかとにかけて厚みをもたせたインヒールカウンターのおかげで、ツーリング先での散策や、立ちっぱなしの場面でも疲れを軽減するよう配慮されています。「見た目はオフ寄り、使い心地はタウンユースもいける」というギャップは、日常使いしたいライダーにはかなり大きな長所です。

メリット2:BOAフィットシステムで“脱ぎ履き問題”がほぼ解決

靴紐を結び直す面倒さから解放してくれるBOAフィットシステムは、ライディングシューズとの相性が抜群です。このモデルでは、大型のM4ダイヤルを採用していて、グローブをしたままでもダイヤル操作でフィット調整やリリースが簡単に行えるよう設計されています。 ツーリング中にちょっとコンビニに寄る、宿に着いてすぐ靴を脱ぎたい、そういう“小さなストレス”を確実に削ってくれるあたりは、一度慣れると紐の靴には戻りづらいレベルの快適さです。

メリット3:プロテクションと防水・透湿を両立した“全天候仕様”

アッパー内部には防水・透湿素材「ドライマスター」を使用し、雨天時でも快適性を確保しようという設計思想が貫かれています。 さらに、くるぶし内蔵の硬質プロテクターや、小指側・ヒール内側のガード類、左足のシフトガードなど、転倒時やシフト操作に伴うダメージを軽減するためのディテールがしっかり盛り込まれています。ライディングシューズに求められる「濡れにくさ」「守られている感」が、デザインの“ミリタリー感”とも相まって安心感につながっています。

 

デメリット3つ

デメリット1:つま先ボリュームゆえの“シフト操作のしにくさ”

厚みのあるビブラムソールとタフなつま先構造は、足を守るうえで頼もしい一方、シフトペダルの下に足を入れるときに「つま先が厚くてシフトしづらい」と感じる声につながりやすいポイントです。 特に、ペダル位置が低めの車両や、繊細なシフトフィールを好むライダーにとっては、慣れるまで違和感が出やすい構造と言えます。見た目どおり“コンバットブーツ寄り”のボリュームなので、スポーツ寄りのシューズから履き替えると、最初は操作性のギャップを感じる可能性があります。

デメリット2:防水性能は“状況次第で評価が割れやすい”

ドライマスターによる防水・透湿構造を謳っているものの、実際には「しっかり雨を防いでくれる」という評価と、「雨でびしょ濡れになった」という対極の印象が生まれやすいタイプのシューズです。 長時間の土砂降り、高速走行時の強い風雨、パンツとの隙間から侵入する水など、使用条件によって体感が変わりやすいのが防水シューズの宿命でもあります。理論上は防水設計でも、「どこまでを許せるラインとするか」で満足度が分かれてしまうモデルと言えるでしょう。

デメリット3:ボリューム感あるデザインゆえの“取り回しの重さ”

アドベンチャーコンセプトのデザインで、くるぶしまでしっかり高さのあるシルエットは、護られている安心感がある半面、「もう少しだけ軽快さが欲しい」という気持ちが出てきやすい見た目です。 実際の重量はEVAミッドソールの採用もあり、外見ほど重くはないものの、スニーカー感覚の軽快さを求める人には“ゴツさ”として意識されがちです。細身パンツやカジュアルファッションに合わせるときは、「足元だけ急にアドベンチャー感MAX」になることもあり、コーディネート上の主張の強さは好みが分かれるポイントになりえます。

 

このシューズの魅力と良し悪しを、少しひねって言語化してみる

RSS010を一言で表すなら、「現代版・ミリタリーブーツを名乗りたいツーリングシューズ」です。アドベンチャーコンセプトをベースにしながらも、ソール形状からアッパーパターン、カラー展開までしっかり“街に降りてきたミリタリー感”を意識した作りになっていて、ただのゴツいブーツではなく、ライディングギアとしての美意識がちゃんと通っています。

機能面では、ドライマスターの防水・透湿、オリジナル成型のVibramソール、EVAミッドソール、くるぶしや小指側・ヒールのプロテクター、リフレクター、シフトガードと、スペック表を眺めているだけで「やる気」を感じる構成です。 BOAダイヤルも大型M4タイプで、グローブのまま微調整できるあたり、「現場のライダーが面倒だと感じるポイント」をかなり真面目に潰しにきた設計だと伝わってきます。

一方で、“戦闘靴”の宿命として出てくるクセもハッキリしています。厚めのつま先とタフなソールが、シフト操作の繊細さよりも、悪路での踏ん張り・立ちゴケ時の安心感に振り切られているので、スポーツライディング重視の人には少し大味に感じられるかもしれません。 そして、防水性能も「日常的な雨なら頼りになるが、過酷な条件で完璧を期待すると、人によっては物足りなく感じる」くらいのリアルな落としどころに見えます。

おもしろいのは、このシューズが「欠点ごとキャラ立ちしている」ところです。つま先のボリュームも、防水の“限界”も、アドベンチャーな見た目も、「ああ、こいつは“コンバットシューズ”なんだな」と納得してしまえば、むしろ愛嬌に変わっていきます。完璧で無個性な優等生ではなく、「ちょっと不器用だけど頼りになる相棒」みたいなポジションで、足元からライダーのキャラを一緒に作ってくれる存在です。

そして最終的に、このシューズがハマるかどうかは「自分のバイクと、自分のスタイルに合うか」で決まります。アドベンチャー系やネイキッド、スクランブラー系と組み合わせれば、“今日は少し遠くまで行きたくなる足元”が自然と完成します。もしスクーターで通勤メインだとしても、「通勤用なのに、なぜか足元だけいつでも旅に出られそう」という、ちょっとした矛盾を楽しめる人なら、RSS010はかなりクセになる選択肢になるはずです。

 

まとめ(感想)

RSS010 ドライマスターコンバットシューズは、「楽に履けて、それなりに何でもこなせる、防水系ライディングブーツ」を探している人に向いた一足です。BOAによる脱ぎ履きの快適さ、プロテクションの安心感、歩きやすさとミリタリー寄りのデザインがうまく混ざり合っていて、“旅心”をくすぐる仕上がりになっています。

その一方で、つま先の厚みや防水性能の感じ方、デザインのボリューム感など、好みや使用環境によって評価が分かれるポイントもはっきりしています。ただ、それらを含めて「コンバットシューズらしさ」として受け入れられるなら、雨の日も晴れの日も、ツーリングでも街でも、足元から気分を少しだけ“遠くへ”連れていってくれる相棒になってくれるはずです。